工業デザイナー・樋上潔はこちら

1956年、滋賀県守山市で生まれる。
1986年に工業製品の企画デザイン会社(有)ティーウェーブを設立。
1996年木を使った物づくりを開始し1998年昔話に出会う。

以後、昔話をテーマに木で玩具を創作し昔話を伝える活動を始める。
1998年から6年間冬に表参道の新潟館ネスパスにて「玩具で語る雪の国の昔話展」開催。
第9回全国ウッドクラフト展にてアイデア賞、岐阜あかりのオブジェ展にて入選2回。

2001年冬「越後・佐渡の民話」展。夏「土佐のむかしばなしと伝説」展に参加出展。


2003年TVチャンピオン「木のおもちゃ王」に出場。
2006年から6年間、毎年夏に三郷市文化会館にて「昔話の木のおもちゃ」展を開催
2007年成城大学で柳田國男の民俗学を学ぶ。
2008年三郷市教育研究会で「昔話と子供の成長」をテーマに講演。

工業デザイナー・樋上潔

始まりは大学を中退し入学したデザイン専門学校、工業デザイン科
卒展では最高賞の大阪市長賞の受賞でした。(受賞作品は都市の中の子供の遊び場)

昔話との出会い

何気なく入った図書館
偶然手にした本「越後・佐渡の民話」
その場所と本が始まりでした。偶然が必然に変わる瞬間でした。

1998年春、私は3回目の個展「木語り」を表参道の小さな画廊で開催していました。
その画廊の近くにネスパスと云う新潟県のふるさと会館がありました。
完成して間もないネスパスは広くて美しい建物で、個展会場としては憧れでした。
そのネスパスの館長さんや職員の方々が私の個展に来てくれ、皆さん木が好きだったことで親しくなり、私は強引にもネスパスでの個展開催をお願いすると「新潟をテーマにした内容を提案して下さい」、県の承認が得られればOKですとの返答。
私は大喜びで新潟の研究を始めました。
新潟に足を運びつつ「米」?「祭り」?「雪」?とテーマが絞れずに休憩のつもりで入った図書館。座った目前に「越後・佐渡の民話」という本。
ああ、民話か~と疲れた目でぱらぱら、その時、光が射したように思えました。
私は震える心を抑えながら読み続けました。

私の本職は工業デザイナー。おもちゃの設計を主とした有限会社ティーウェーブを経営しながらも危うい現実の中、もっと自分らしい生き方を模索し職業訓練校の木工科へ。好きだった木に向かい始めたのが30代後半。椅子などを創って販売する店を出すも製作と販売のバランスがかみ合わず半年で閉店。その後の個展活動。しかし哲学のない作品には私が求める美しさはなく、どう生きていけば良いのかわからないまま表参道での個展を最後にと、そこで出会ったのがネスパスでした。
偶然ネスパスの近くでの個展、偶然手にする本、新潟を研究する行動は昔話に出会う必然でもありました。

震える心を抑えながら読み続けた「越後・佐渡の民話」
おもちゃの企画や設計を生業にしていた私にとって「傘地蔵」「屁っこき嫁」「三枚のお札」などの昔話の主人公はキャラクターそのものでした。その特徴を玩具に置き換えることは私の得意とする世界。またその世界をどう社会に活用するかという楽しみも見える。木の素材と昔話の相性も直感的に良いと感じ、そんな感覚が図書館であの本を手にした瞬間に始まったのでした。
こうして私の昔話との出会いがありました。
そして昔話を木の玩具に仕立て昔話を伝える活動を始めました。

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